ITエンジニアとして働いていると、ふとした瞬間にこう感じることはないでしょうか。
いま、20代後半〜30代前半の若手IT人材のあいだで、IT業界を離れたい、でも次の選択肢が見えないという悩みが増えています。
世間では「エンジニアは将来性がある」「食いっぱぐれない」「IT業界はやめるなんてもったいない」と言われがちです。
しかしその実態は、精神的・身体的に過酷な働き方や、向き不向きが極端に分かれる職種構造により、多くの人が静かに苦しんでいます。
「IT業界をやめてよかった」と感じる人たちのリアル

まずはじめに、「IT業界を離れてよかった」と感じている人たちの実例を紹介します。
ネット上の声だけでなく、実際のキャリア相談の現場でも、辞めたことでむしろ満足度が高まったケースは多く存在します。
つまり、「辞めてよかった」と感じている人たちは、感情をごまかさず、自分の方向性を理解して動いた人たちなのです。
「向いてない3年説」は本当か?

IT業界に限らず、日本の労働文化ではこんな言葉がよく語られます。
「石の上にも三年」
「3年は続けないと分からない」
「3年未満の離職は経歴に傷がつく」
とくに新卒や若手エンジニアにとって、この「向いてない3年説」は強烈な呪いのようにのしかかります。
しかし、本当に3年耐えなければキャリアにならないのでしょうか?
結論から言えば、現代のキャリアにおいてこの“3年ルール”はもはや通用しません。
むしろ「向いていないと感じているのに、理由もなく3年我慢する」ことは、キャリアをむしろ遠回りさせてしまうリスクがあります。
「3年続けろ」は昭和の価値観だった
この3年ルールは、本来は以下のような背景から来たものでした。
- 昔は終身雇用が前提だった(辞めにくい=腰を据える文化)
- 業務の習得に時間がかかる職種が多かった(紙ベース、マニュアル主義)
- 転職が一般的ではなかった時代の“我慢=美徳”という考え方
ところが、現在は全く違います。
- 転職が一般的(第二新卒・キャリアチェンジ前提)
- 未経験でも学べる情報が豊富(スクール・副業・動画)
- 業務の属人化が減り、キャッチアップが早くなっている
- 「企業側も3年いない人材」を前提に人材設計している
つまり、昔の“耐える前提”の労働観を、今にそのまま適用すること自体がナンセンスなのです。
「向いてない」と気づいたら3年待たずに動くべき
あなたが本気でこう感じているなら、すでにその直感は正解かもしれません。
「ITの業務が好きになれない」
「努力しても成果につながらない」
「技術にワクワクしない、むしろ苦痛」
この状態で3年耐えてしまうと、以下のようなことが起こります。
つまり、「3年我慢すればどうにかなる」ではなく、“今向き合わないと手遅れになる”のが現実です。
「向いてないと言われた」らどうすべきか?
上司や先輩に、こう言われたことはないでしょうか。
この言葉に傷つき、自己否定を感じる方もいると思います。
ですが、それは評価ではなく“フィードバック”として受け止めるべきです。
なぜなら、こう言われる人には別の資質がある可能性が高いからです。
- 人と話すのが得意 → 顧客折衝・営業に向いている
- 整理整頓が得意 → 事務やディレクションに向いている
- サポートが得意 → カスタマーサクセスに向いている
「向いてない」=「終わり」ではなく、新しい可能性の入り口なのです。
大事なのは「年数」ではなく「納得感」
キャリアにおいて最も大事なのは、“我慢して続けた”という実績ではありません。
自分で選び、自分で行動したという納得感です。
3ヶ月で辞めたとしても、「どうして辞めたか」「次にどう活かしたか」を説明できれば、採用では評価されます。
逆に、3年続けても「惰性でした」「苦痛でした」では、何も意味を持ちません。
今、あなたが感じている“違和感”は、キャリアの迷いではなく、自分を守るためのシグナルです。
それを見逃さず、未来の自分のために、今動けるかどうかが分岐点になるのです。
「IT辞めたい・興味ない」と感じたその“直感”は誤魔化せない

「なんとなく、もう続けたくないかも…」
「別に、エンジニアって面白いと思ったことない」
「興味を持てって言われても、無理なものは無理だよ…」
こういった感情は、決して甘えではありません。
むしろ、自分のキャリアを冷静に見つめるための重要な“信号”です。
この章では、現役エンジニアや転職経験者が「IT、もういいかもしれない」と感じた具体的な“瞬間”を紹介し、
それがなぜ危険信号なのか、どう受け止めて動くべきなのかを解説していきます。
技術への「ワクワク感」が皆無になったとき
「未経験からエンジニアになって半年。技術の話が何ひとつ面白くないことに気づいた。
他の同期は『このライブラリ便利!』『React勉強中!』とか言ってるのに、自分は全然ピンとこない。」
エンジニアという職種は、“好き”や“興味”が強い人が伸びる構造になっています。
日々のキャッチアップ、調査、継続的な学習…。これを“やらなきゃ”ではなく、“やりたくてやってる”人が多いのがこの業界のリアルです。
その中で、「苦痛しかない/一切興味がない」と感じてしまうなら、それは相性が極めて悪い可能性があります。
業務外で一切コードを書きたくない
「学習意欲が大事なのは分かる。でも、業務が終わったらもうパソコンすら触りたくない。
休日にプログラミング?無理。YouTube見て寝たい。」
これは非常に多くの人が感じる感覚です。
ただし、問題はその感覚が一時的な疲労なのか、職業そのものへの拒否反応なのかという点。
継続的にこの状態が続いていて、「学ぶこと自体が苦痛」と感じるなら、本質的に適性が合っていない可能性が高くなります。
「人と話す仕事の方が好きかもしれない」と思ったとき
「自分はコード書くより、人に説明するのが得意かも」
「誰かを支援する方が楽しいと感じる」
「チーム全体の調整役の方が自分に向いている気がする」
このように、“別の仕事の方がしっくりくる”感覚が芽生えることもあります。
実はこれ、キャリアの転機を示す非常に重要なシグナルです。
チーム開発や仕様変更に「ウンザリ」している
エンジニア業務は常に変化との戦いです。
- 仕様が毎日のように変わる
- 顧客の要望が無茶苦茶
- プロジェクトの進行がグダグダ
- レビューやミーティングに振り回される
こうした“流動的な状況”に強いストレスを感じるなら、IT開発職の特性とミスマッチしている可能性があります。
なぜなら、それが当たり前の環境だからです。
「人生これでいいのか?」という漠然とした疑問が消えない
「このまま40歳、50歳までエンジニアやっていける気がしない」
「自分は本当にこの仕事がやりたかったのか?」
こうしたぼんやりとした不安こそ、本質的な違和感です。
感情は、最も正確な“コンパス”である
理屈で「辞めちゃダメ」と考えても、心が「もうムリ」と叫んでいるなら、それがあなたの本音=本質です。
今のあなたに必要なのは、「我慢」ではなく、「行動と準備」です。
感情はキャリアの“妨げ”ではなく、“ガイド”です。
次章からは、その違和感を正しく使っていくために必要な「向いてない人の特徴と活かし方」「辞めたいけど次がない人の再起戦略」を解説します。
エンジニアに向いてない人の特徴10選

「向いてない」と感じているのに辞められない人は、自分にこう問いかけてしまいます。
「向いてないなら、私は何者なんだ?」
「エンジニアになったことが間違いだったのか?」
しかし、あなたがエンジニアとして苦しんだ理由は、“能力がないから”ではなく、“性質や働き方の相性”が悪かっただけかもしれません。
ここでは、ITエンジニアに向いてない人の10の特徴を紹介します。
学習が“苦痛”でしかない人
エンジニアは一生学び続ける仕事です。
トレンド、言語仕様、セキュリティ、ツールなど学ぶ意欲がなければ、あっという間に“化石化”してしまいます。
ロジックより感情で動く人
論理的思考が求められる開発現場において、「なんとなくこう思う」「気持ち的にイヤ」といった感覚で動いてしまう人は、エラーの原因追跡やレビューに苦しみがちです。
作ることに興味がない人
「モノづくり」にワクワクしない人は、どれだけコードが書けてもやらされ感が抜けません。これは成長を妨げる大きな要因です。
細かい作業にストレスを感じる人
ミスが許されないソースコードの世界で、「細かすぎて嫌になる」という人は疲弊しやすいです。
“正解がない”状況に不安を感じる人
仕様のあいまいさ、顧客の要望のブレ、設計の余地……開発には不確実性がつきもの。
「決まっていないこと」に強いストレスを感じる人は、長期的に消耗します。
1人で抱え込みがち/質問ができない
エンジニアには「自走力」が求められると同時に、分からないことを言語化して聞く力も必要です。
それができないと、問題を抱え込んで詰む傾向に。
チームワークが苦手
エンジニアは実は「共同作業」が非常に多い職種です。
Slack、Git、PRレビュー、ペアプロ……人とコミュニケーションできないと“孤立”してしまいます。
評価されにくい環境がしんどい
「何をやっても“普通”としか言われない」「頑張りが見えない」
エンジニアの仕事は成果が可視化されにくく、社内で評価されづらい傾向があります。
ミスを極度に恐れる人
コードは小さなミスが大きなトラブルを招くため、プレッシャーに弱い人には過酷な環境になります。
興味はあるけど“楽しめない”人
「エンジニアってすごいな」「ITは必要な分野だと思う」……でも、自分がそれを“やる”となると話は別。
リスペクトと適性はイコールではないのです。
「向いてない」と気づくのは、終わりじゃなく“始まり”
ここで紹介した10の特徴に1つでも当てはまったからと言って、あなたが無能だとか、失敗だということではありません。
むしろ、「向いてない」と気づけたことで、初めて「本当に自分が向いている場所」を探すスタートラインに立ったのです。
「辞めたいけど次がない…」と思う人のための再起戦略ステップ

IT業界から離れたい。エンジニアを辞めたい。
だけど、次の仕事が見つかる気がしない。自分には何もない気がする。
その不安は、とてもリアルでよく分かります。
なぜなら、ITエンジニアという職業は専門性が高く、キャリアの“縦方向”に伸びていく設計だからです。
この構造の中で、「横にスライドしたい」と感じたとき、“自分には応用が利かないのでは”という不安に直面します。
しかし実際は、適切な手順さえ踏めば、次のキャリアはちゃんと見えてきます。
この章では、「次がない」と感じているあなたにこそ届けたい、5つのキャリア再起ステップを解説します。
STEP 1:まず“自分を棚卸し”する
何より先にやるべきは、自分の中に眠っている“他人には見えていない価値”を可視化することです。
- 得意なこと(人より早くできる・苦じゃない)
- 苦手なこと(避けたい・ストレスになる)
- 好きだった作業(時間が早く感じた・もっとやりたかった)
- 嫌いだった作業(やる気が出なかった・後回しにした)
これを紙でもGoogleスプレッドシートでも構いません。
1時間だけでも集中して書き出せば、自分の強み・志向性が浮かび上がってきます。
ポイント:
「エンジニアの職務」に縛らず、自分という“人間”としてどうだったかで振り返る。
STEP 2:職務経歴書を“転用”して書き換える
多くの人が誤解していますが、職務経歴書は“事実の記録”ではなく、“伝え方の技術”です。
例:開発エンジニア→IT営業職へ
Before
- Javaを用いたWebアプリケーションの開発に従事
- Spring Boot/MySQL/Gitを使用し、チーム開発を担当
After
- 顧客ニーズをヒアリングし、要件定義〜仕様策定を実施
- 複数部門と連携し、合意形成とスケジュール調整を主導
- 論理的思考とIT知識を用いた提案経験あり
このように「何をしたか」ではなく、「どう活かせるか」で**“別職種向けの文脈”に変換**していきます。
STEP 3:業界・職種マッピングで「隠れ適職」を洗い出す
以下のように、IT経験を活かせる“非エンジニア系”職種は実はたくさんあります。
| カテゴリ | 職種例 | 向いている人の特徴 |
|---|---|---|
| 対人・調整系 | IT営業、プリセールス、CS(カスタマーサクセス) | 話すのが好き、調整が得意 |
| 教育・支援系 | IT講師、スクール運営、社内研修講師 | 教えるのが好き、面倒見がいい |
| 管理・調整系 | ディレクター、PM、PMO | 全体を見たい、管理業務が苦じゃない |
| 分析・改善系 | Webマーケター、データアナリスト | 分析好き、数値を扱うのが得意 |
| 安定・ルーチン系 | IT事務、社内SE、ユーザーサポート | 正確性重視、裏方が好き |
→ 「次がない」は“知らない”だけの可能性が高いのです。
STEP 4:「今すぐ辞めず、半年かけて準備する」スケジュールを立てる
無計画に辞めると、貯金が減り、焦って転職し、またミスマッチを繰り返します。
だからこそ、辞める準備には計画が必要です。
例:半年間の転職準備ロードマップ
| 月 | やること |
|---|---|
| 1ヶ月目 | 自己分析・強みの棚卸し |
| 2ヶ月目 | 転職サイト・エージェント登録(3社以上) |
| 3ヶ月目 | 職務経歴書・履歴書を複数パターンで作成 |
| 4ヶ月目 | 面接練習/スカウト返信/副業の模索 |
| 5ヶ月目 | 書類選考→一次面接スタート |
| 6ヶ月目 | 内定/退職交渉/引き継ぎ準備 |
→ 「半年後に辞める前提」で動くことで、現職のストレスも和らぎ、精神的に安定した転職活動が可能になります。
STEP 5:最後の切り札「副業」で興味・向き不向きを試す
いきなり転職せず、副業という“安全な実験場”で次の道を模索するのも有効です。
- Webライター → 「文章が書けるか」/論理的思考の活用
- オンライン事務 → 正確性・対応力のチェック
- ココナラ・スキルマーケット → デザイン、資料作成、相談業など
- メンター系 → プログラミング講師、キャリア相談など
→ 副業で「楽しい」と思える仕事が見つかれば、それが本業に変わる可能性も十分にあります。
多くの人は、「次がない」のではなく、“次の準備をしていない状態”を“次がない”と勘違いしています。
あなたにはこれまで積み重ねてきた知識と経験がある。
向いてなかったことに気づけた今こそ、「向いている何か」を見つけるチャンスです。
「辞めて正解だった」と思えた視点

「辞めたいけど、辞めたら後悔するかもしれない」
「今より状況が悪くなるのでは?」
そんな不安が頭をよぎるのは当然です。
でも実際にIT業界を辞めた人たちの多くは、「もっと早く辞めればよかった」と語っています。
ここでは、ITを辞めた“その後の人生”を5つの軸で比較してみましょう。
働き方の柔軟性:「時間の自由」が手に入った人たち
IT業界では、納期やリリースに縛られた長時間労働や夜間対応も少なくありません。
一方で、異業種へ転職した多くの人は、「時間のゆとり」が大きく変化したと語ります。
「17時半退社が当たり前の職場に移って、毎日自炊できるようになった」
「土日が確実に休みになったことで、友人や家族と過ごす時間が増えた」
残業が当たり前だった働き方から解放されることは、メンタルの安定と自己肯定感の回復にも大きくつながります。
健康面:メンタル・身体の安定を取り戻す人が多い
IT業界では慢性的な肩こり、眼精疲労、不眠、ストレス性胃腸障害など、“静かに壊れていく系”の不調がよく見られます。
特にメンタル面の疲弊は気づきにくく、「辞めてみて初めて、自分が壊れていたことに気づいた」という声も少なくありません。
「朝が怖くなくなった」
「常に“締切”に追われていた感覚から解放された」
「夜ぐっすり眠れるようになった」
健康は全ての土台です。給与やキャリアよりも“自分を壊さないこと”の方が遥かに重要です。
年収:下がった人もいれば、逆に上がった人もいる
「ITを辞めたら年収が下がるのでは?」という懸念もよく聞かれます。
確かに、エンジニアから事務職や営業職に転向した直後は、一時的に年収が下がることもあります。
しかし以下のような例も多く存在します:
- IT営業に転職 → 成果に応じてインセンティブが入り年収+80万円
- Webマーケターへ転身 → 副業OKの企業に転職して副収入+15万円/月
- 公務員試験合格 → 年収は下がったが生活は安定し幸福度が上昇
つまり、“下がることが不幸”ではなく、“何に価値を置くか”で全く評価が変わるのです。
人間関係:「社風が合う仕事に移ったら、人生が変わった」
IT系の会社、とくにベンチャーや技術者中心の現場は、独特なカルチャーや閉鎖的な空気があることもあります。
「技術力がすべて」の空気に馴染めなかった
「相談しにくい」環境で孤立していた
「助け合う文化がなかった」
こういった職場から、協調性や人間関係を重視する職種・業界に移った人は、仕事の充実感が大きく変化しています。
キャリアの広がり:技術職以外にも“活かせる場”があると知った
ITを辞めたあと、「あ、自分って案外いろんなことができるんだ」と気づく人は多いです。
- 論理的思考力 → 営業資料作成・企画設計に応用
- システム思考 → マーケティングや業務改善に活用
- チーム開発経験 → プロジェクトマネジメントや教育担当に応用
IT業界での経験は、実は「他の職種で活きる抽象スキルの塊」なのです。
まとめ

ここまで、「IT業界をやめてよかった」と感じた人の実例や、
向いていないと判断する基準、そして「次がない」と思う人への戦略を紹介してきました。
今こそ見直すべき価値観は次の3つです:
- 「逃げるのは悪いことだ」という思い込み
- 「今の環境で我慢すべき」という固定観念
- 「次が決まってないと辞められない」という不安
現代のキャリアは、我慢よりも“合う場所へ移る力”が求められます。


コメント