ITエンジニアは情報技術の専門家として、コンピュータソフトウェアやハードウェア、ネットワーク、システム管理など多岐にわたる領域について問題解決やシステム改善などを行っています。
そんなエンジニアの彼らが「完全に理解した」と言うときは、必ずしも文字通りの意味で”理解した”ということを示しているわけではありません。
これは一体どういうことなのでしょうか?
本記事では、エンジニアが発する特定のフレーズについて、どういう意図でその言葉を発しているのかや、どのように活用するかを解説していきます。
ログラマーミームとは

まず、タイトルにあるように「プログラマーミーム」とは何かについて、ミームの言葉の意味と、世に蔓延るインターネットミームを解説していきます。
ミームとは?
まず「ミーム」とは、主にインターネット上で広がる流行や拡散されるコンテンツなどの概念のことを言います。
よくSNS上にて、コラージュ画像や動画などでさまざまな話題や流行に関連するネタがバズっていることを見かけますよね。
「ミーム」という概念は、元々イギリスの生物学者であるリチャード・ドーキンスが1976年に提唱したもので、英語の『gene(遺伝子)』とギリシャ語で「模倣」を意味する『mimeme』を合成した造語です。
この言葉は大抵、「インターネットミーム」として参照され、近年ではXやTikTokなどのプラットフォームでミームという概念が頻繁に共有されています。
さまざまなインターネットミーム
インターネットミームは、さまざまなプラットフォームで生まれては拡散され、人々の共感や興味を惹きつけています。
日本国内で話題になったネットミームについて、一部ご紹介いたします。
きっとどこかで聞いたことのある方も多いのではないでしょうか?
「だが断る」
漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のセリフをもとにしたネットミーム。
「検索してはいけない言葉」
こう言われると逆に検索したくなるという心理を突いたネットミーム
「〇〇なのに〇〇・・・妙だな・・・」
『名探偵コナン』の一部のシーンを切り取って話題になったネットミーム
プログラマーミームって?
また、プログラマーミームとはネットミームと違い、非エンジニアの方には理解しがたいミームのことを指します。
海外では「meme」といって、ネタの意味が分かるとエンジニアがくすっと笑ってしまう画像がSNSなどで拡散されているようです。
以下にて、海外の「meme」を一部ご紹介します。

学校の CentOS で Vim を生まれて初めて開いたあの夜、 Ctrl+C しても Ctrl+D しても、あらゆる終了っぽいキーを押してもその Vim は終了しませんでした。わたしは完全に PC がバグったと思い、解決のためプラグを抜きました。誰もが一度は経験する、ちょっと甘酢っぱいひと夏の思い出です。引用元:海外で通用するエンジニアがクスッとしてしまう17の meme

わたしも3時間かけて書いた370行のコードが Stack Overflow では30行くらいで書かれていたことがあります。引用元:海外で通用するエンジニアがクスッとしてしまう17の meme

ちょっと有名な画像。IP アドレスと MAC アドレスです。引用元:海外で通用するエンジニアがクスッとしてしまう17の meme
プログラマーミーム「完全に理解した」

では本題の、日本に存在するプログラマーミーム「完全に理解した」について解説していきましょう。
非エンジニアはどう解釈する?
非エンジニア、つまりエンジニアではない一般の人の考え方として、「完全に理解した」という言葉を聞いた場合の解釈について整理しておきましょう。
おそらくこう考える方が多いのではないでしょうか?
「伝えたことの意図もすべて理解し、すぐにでも取りかかれる状態」
「全てを解決できる超エキスパートエンジニア」
では、エンジニアはどう考えるのかを見てみましょう。
エンジニアの解釈
ITエンジニアのコミュニティ内では、「完全に理解した」という表現は少し異なる意味を持っています。
それをグラフに表したものがこちらです。

「完全に理解した」の後に「何もわからない」、そして最後に「チョット分かる」という状態が来ていることがわかります。普通に言葉の意味で考えれば「???」となりますよね。
事実、「完全に理解した」とは、特定のアプリケーションやサービス、モジュールの使い方を教えるチュートリアルを無事に完了した、という初級レベルのことを指しています。
エンジニアからすると「(とりあえず基本や概要は)完全に理解した」となるわけですね。
要するに、マニュアルを使って仕事ができるという状態です。
このミームの使い方としてよくあるのが「CSS完全に理解した」です。
CSSとはプログラミングを行う際に、色やサイズなどの見た目部分を指定するプログラミング言語のことで、プログラミングを行う際の基本中の基本のことです。
「完全に理解した」が、一般的に言う「完全に」ではないことがよくわかりますね。
他にもあるプログラマーミーム

「完全に理解した」という表現は、「チュートリアルを終えた」という程度の理解を指すことが多いということがお分かりいただけたと思います。
このような言葉遊びは他にもあり、Xにて以下の引用のように紹介されている例があります。
では、他のプログラマーミームを一部詳しくご紹介していきましょう。
「何もわからない」
前述の表でいうと、「何もわからない」ではかなり理解度が下がっていることがわかります。
しかし、これも「何も理解できていない初心者エンジニア」のことを言うのではなく、「マニュアルを応用できる状態で、問題に対する本質的な解決策を導き出そうとすればするほど”何もわからなくなってしまう”」という状態であることを示します。
基本のマニュアルを理解し、応用できるようになったからこそ出てくる悩みであると言えそうです。
実際には問題の本質に深く迫って理解している状況を示しているため、「本当に何も理解していない」というわけではないことがわかります。
「チョットデキル」
「チョットデキル」は、一から同じプログラムを作れる、あるいは、開発者自身であることを意味しています。
これはどういうことかというと、Linuxの開発者リーナス・トーバルズのとある写真が話題となりました。
あるイベントで彼が着ていたTシャツには「ワタシハリナックスチョットデキル」と書かれていました。
Linunの開発者である彼は「完全にできる」はずなのに「チョットデキル」。
そのシュールな状況から広く知られるようになりました。
したがって、「チョットデキル」と言う人は、マニュアルを作れるようになるほどほとんど全てを理解しているという意味で、同じ製品を自分でも一から作れる状態になり、エンジニアとしては上級者になってきていることを表します。
まとめ
エンジニアが発する特定のフレーズについて、どういう意図でその言葉を発しているのかや、どのように活用するかを解説していきました。
非エンジニアの方からすると理解不能な使い方をする用語ですが、世間一般にも「ネットミーム」として特殊な使い方をする表現が流行したりします。
エンジニアとして仕事をしていると、脳を使ってさまざまなことを考えたり記憶したりするので、脳内がパンクするという方も少なくないと思います。
しかし、プログラマーミームを楽しむ余裕を作っておくことで、より仕事が楽しくなっていくのではないでしょうか?


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