SES案件を抜けたいとき・案件ガチャを外したときの対処法

SESエンジニアとして働いていると、多くの人が「案件ガチャ」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか? これは、“案件によってはハズレを引くこともある”という意味を表すのですが、そう感じたときにはどのように対処すればよいのでしょうか。
本記事では、「案件ガチャ」でハズレを引いたと感じたときの対処法と、契約更新を断りたいときの行動、そして転職を考える上でのポイントについて詳しく解説します。

目次

SESエンジニアと「案件ガチャ」

SESエンジニアの仕事は、技術を活用してクライアントのビジネスをサポートすることです。
しかし、時には自分のスキルに合わない案件を割り当てられることもあり、そのような場合は冷静に状況を判断し、適切な対応をすることが求められます。

「案件ガチャ」という言葉は、自分に適した案件に当たるかどうかが運に左右される状況を指します。
これは、エンジニアの希望とクライアントのニーズが一致しないことから生じる問題ですが、運だけの問題ではありません。運に左右されないように対策を行ってきましょう

まずは、どんな時に「案件を抜けたい」と感じるのか整理していきますね。

SESの案件を抜けたいと思う理由

では、エンジニアがSES案件から離れたいと考える主な理由を見ていきましょう。

SESの案件を抜けたいと思う理由

  • 仕事についていけない
  • スキルアップにつながると感じられない
  • 人間関係がつらい
  • 残業が多い
  • 適切な評価を受けられない

仕事についていけない

仕事がうまくいかないと感じる人々は、「自分のスキルが求められる業務と一致していない」、または「自分の能力を超える業務が求められている」と感じています。
このようなスキルと業務の不一致は、以下の原因で起こることがあります。

  • 上司や担当者から、常駐先に自分のスキルを正確に伝えてもらえていない
  • 自分のスキルを正確に伝える努力ができていない
  • 経歴を偽ることを強いられている

SES企業でたまに見受けられるのですが「すぐに仕事が見つかるから」という理由で経歴を偽るように強制する企業には注意が必要です。
また、経歴詐称ではなくとも、正確にスキルが伝わっていないことは多々あります。
しっかりと伝わっているかどうかは、自分で確認するようにすることが大切ですね。

スキルアップにつながると感じられない

エンジニアとしてスキルアップが見込めない状況も、案件から離れたいと考える一因となります。
例えば、エンジニアの職務とは無関係な家電量販店への派遣コールセンターでの業務などが主になった場合、自身の成長に疑問を感じるでしょう。

自己の努力に反して、日々の業務が雑務ばかりであると、キャリアの向上が見えず、時間が無駄になっていると感じるかもしれません。
そういった場合は、エンジニアとしてのスキルを向上させられる仕事への転職を検討することをおすすめします。

人間関係がつらい

SESの仕事では、クライアントが変わるたびに新しい人間関係を作る必要があります。
このため、コミュニケーションが難しく感じることもあり、人間関係について悩むことが多いです。

そんな時、自分がSESの働き方全体に問題を感じているのか、それとも今のクライアントとの関係が難しいだけなのかをはっきりさせることが大切です。
もしSESの働き方全体に問題があると感じるなら、別の職種へ転職を考えてみることも一つの選択肢です。
一方で、問題が現在のクライアントとの関係だけなら、案件を変えることで悩みを解消できるかもしれません。

残業が多い

SESでは、プロジェクトによって職場の環境が大きく異なるため、長時間の勤務を要求されることがあります。
その結果、自分の時間が削られることによるストレスを感じ、プロジェクトに対する不満が生じることがあります。

例えば、納期に間に合わせるためには追加の労働が必要となる「炎上プロジェクト」に関わる場合、残業が増えてしまい、その拒否が難しい状況になることがあります。

適切な評価を受けられない

SESの仕事では、自社ではなく常駐先で働くことが大半のため、自分の能力や成果が正確に評価されにくい環境であることが多いです。
常駐先での印象が人事評価に大きな影響を与えるため、同じ案件を同じように処理しても、客先によって評価が変動する可能性があることを念頭に置いておく必要があるでしょう。

そのため、常駐先の社員とのコミュニケーションを大切にしながら働くことが必要になってきます。

「案件ガチャ」に外れたときの対処法

では、ミスマッチが起こってしまった原因別の対処法について深掘りしていきましょう。

ミスマッチが起こってしまった原因

  • スキルと案件要件のミスマッチ
  • 現場が求める「即戦力」とのミスマッチ
  • SES構造上、「マッチング」が甘くなりやすい

原因①スキルと案件要件のミスマッチ

SESエンジニアが「案件ガチャに外れた」と思う理由で最も多いのが、「スキルと要件のミスマッチ」です。
例えば、Javaの実務経験が「3年」と書かれていても、内容がドキュメント修正やテストのみだった場合、「設計から開発まで一括してできる人材」を求める現場では期待できないと見られることもあります。

また、多重下請け構造により内部エンジニアの詳細なスキルが正確に伝わらないまま、サインが進んでしまうケースも少なくありません。 その結果「できると思っていたのに、想像以上にスキルが合わなかった」という状況が発生し、エンジニア自身も苦しむことになります。

このようなミスマッチを防ぐには、エンジニアが自分のスキルを過大評価せず、具体的な経験内容を正直に伝えることが大切です。 また、営業担当や企業側も、「経験年数」ではなく「実際に何ができるのか」をしっかり見極める意識が必要となります。

原因②現場が求める「即戦力」とのミスマッチ

SESエンジニアが「案件ガチャに外れた」と感じる背景には、「現場には即戦力しか求められていない」という現状があります。
SESの現場では、エンジニアを一から教育する余裕はほとんどなく、“来たその日から戦力になる人材”が前提でサインされることが多いです。

特に、未経験者や経験が浅い方にとっては、教育のない現場は大きなミスマッチが起こりやすい場所と言えます。
期待に応えられず、エンジニア本人が自信を無くして退場…という悪循環になってしまうことも少なくありません。

この問題の解決には、事前に現場の期待値(要求スキル・担当範囲)を明確に共有することが重要です。営業や企業側は、エンジニアの経験だけでなく、「現場でどのような役割を担うのか」を事前に確認・すり合わせすることが重要です。

また、エンジニア側が「自分が即戦力として働ける範囲」と「必要に応じてサポートが必要な部分」を正直に伝えることで、無理なアサインを守ることができるようになってきます。
できること・できないことを正しく伝える勇気を持ちましょう

原因③SES構造上、「マッチング」が甘くなりやすい

SES業界では、多重下請け構造が一般的です。
エンジニアを募集する元請企業と、複数の会社が仲介に入ることで、実際に現場に入るエンジニアの情報が伝言ゲームのように伝えられていきます。

このように正確に情報が伝わらない状況になると、「思っていたレベルと違う」と現場から指摘され、エンジニアが途中退場になるケースにも発展します。
そのため、現場に正確な情報を伝える仕組みが必要となります。

またエンジニア自身も、自分の言葉でスキルや希望を説明できるようにすることが必要です。

SES案件からの離脱は可能?

SESの案件から脱却することは可能ですが、適切な手順を踏まなければ自社やクライアントに大きな負担を掛ける可能性があります。
予期せぬトラブルを避けるためにも、突然の欠勤や無断での退社は絶対に避けましょう

ここでは、“案件の変更のみを望む場合”“転職を検討している場合”について、それぞれSES案件からの適切な退場方法をお伝えします。
自身の状況に合わせて、正確な手続きを通じて案件から退くことを心掛けましょう。

案件だけを変えたい時

多くの人々が、「転職する意志はないが、現在のSES案件が自分に適合していないので変更したい」という状況にあると思います。
自分が所属する企業はそのままで、SES案件のみを変えたいと考えている場合、どのようにすればいいのでしょうか。

上司や担当の営業スタッフに状況を伝える

まずは、現状を営業担当者や上司に説明しましょう
契約期間の調整や適切な離脱方法など、今後の行動についてのアドバイスを求める行動をとることが大切です。

ここで大事なことは、自分の感情をはっきりと相手に伝えることです。
「会社に迷惑をかけたくない」、「上司に怒られるのが怖い」といった理由で本当の気持ちを隠してしまうと、問題の本質を理解してもらえず、結局何も解決しない可能性があります

もし現在のSES案件に不満があるなら、その不満点をどのように改善してほしいのかを率直に伝えるようにしましょう。

契約の更新期間にしっかり話し合う

契約更新時期が、担当の営業や上司と話し合う最適なタイミングです。
この時期に話し合うことで、顧客との調整や他のエンジニアへの引き継ぎが円滑に行え、問題が生じるリスクを低減できます

通常、SES案件の契約更新は1〜3ヶ月ごとに行われます
無理に我慢する必要はないですが、問題になるのをできるだけ避けたい場合は、契約更新時期を相談の基準にすることをおすすめします。

転職を検討している場合

転職を検討している場合でも、基本的な手続きは案件だけを変更したい場合と同じです。
ただし、退職には複雑な手続きが伴うため、最低でも1ヶ月前には自身の上司や担当者に退職の意向を伝えることが推奨されます。

日本の労働法では、定期的な更新のない雇用契約(主に正社員)の労働者は自由に退職することが認められています。そのため、SES案件のプロジェクト期間中であっても、法的には退職することが可能です。
しかし、退職するにしても、大きな問題を起こすことなく、円満に退職したいと思う人が多いでしょう。
もし現在の案件に対する不満が強く、契約更新を待っていられない場合でも、迷わず上司や担当者に相談することが重要です。しっかりと自分の気持ちを伝える場を設けましょう。

SES案件を抜けるときのポイント

次に、SES案件を離脱する際の重要なポイントを見ていきましょう。
SES案件を変更するか、会社を辞めるかに関わらず、スムーズな調整と良好な関係を保つことがなによりも重要です。
不必要な問題を避けるため、以下のポイントを念頭に置きましょう。

突然、常駐先に相談を持ちかけない

SES案件から離れる際には、直接クライアントに持ち掛けることは避けましょう
契約関係はあくまで所属企業との間に存在し、クライアントと直接交渉することは混乱を招きます
最初に自分の上司やマネージャーに相談を持ちかけ、クライアントに情報を伝えてもらうのが適切です。
その後、自身で直接クライアントに自身の意向を伝えると、より丁寧な印象を与えることができます。

1か月前には伝える

案件から離れたいと感じた場合、できるだけ早くその旨を上司や担当者に知らせることが重要です。

後継者の選定や引き継ぎの調整には時間がかかるため、すぐに案件を抜けることができない場合もあります。
そのため、離脱の意思があるなら早期の段階で伝えることが大切です。
法律上は、「通知から2週間後に雇用契約が終了する」ですが、スムーズな引き継ぎのためには1ヶ月前の通知が望ましいとされています。

なお、企業によっては自社の通知期間を設けている場合があります
これは法的な義務ではないですが、円滑に希望を進めるためには、これに従うことが良いでしょう。

引継ぎはしっかりと行う

退職や案件からの離脱を考えている場合、後任者への引継ぎを十分に行うことが大切です。
適切な引継ぎを行わないと、後任者が困難に遭遇する可能性がありますし、自身が引き続き問い合わせを受けることになる可能性もあります。

また、しっかり引継ぎを行うために準備する段階で、反省点を見つけ、自分の仕事を振り返る機会にもなります。
後任者のスキルや経験に合わせて引継ぎ資料を作成し、スケジュールを作成すると良いでしょう。
プロジェクトから離れた後も、後任者がスムーズに業務を行えるよう、十分な引継ぎを心がけましょう。

損害賠償の支払いについて正しい知識を持つ

プロジェクト途中での退職による損害賠償請求が気になる方も多いかと思いますが、法律により「退職の自由」「賠償予定の禁止」が保障されているので、プロジェクト進行中であっても損害賠償を支払う義務は生じません
無期雇用契約においては、2週間前までに退職の意向を明確に伝えることで、賠償義務なしに退職することが可能です。

しかし、以下に当てはまる場合は損害賠償を求められる可能性があるので注意が必要です。

損害賠償を求められる可能性があるケース

  • 雇用契約や誓約書に「退職によって会社に損害を与えた場合は損害賠償を請求する」などの文言が含まれているケース
  • 悪質な辞め方(引継ぎなし、常駐先でのトラブル、禁止事項を破るなど)をしたケース

常に営業担当者と意思疎通を図っておく

案件から離脱する際には、自社の営業担当者への早期の相談が必要です。
これは、後任者の選定や引継ぎスケジュールの調整など、常駐先との調整が求められるためです。

営業担当者は、常駐先企業との調整やチームメンバーの割り当てなどを担当していることが多く、営業担当者と連携することでスムーズに案件からの離脱タイミングを計画することができるからです。

一部の案件では、即時の離脱が難しい場合や、営業担当者から一定期間の継続を要求される場合があります。
そのため、営業担当者と意思疎通できる機会を設けておき、早期に相談できる環境と、常駐先との調整がしやすい環境を整えておくことで、案件からスムーズに離脱することができます。

案件を抜けたあとは

では、実際に案件を抜けたあとのキャリアプランについて考えてみましょう。

前回の経験を次のプロジェクトに活用する

案件から離れた後のキャリアプランとして、新しいSES案件に挑戦するという選択肢があります。
SES案件は、クライアント企業のニーズや職場環境が案件によって大きく異なります。
前の案件から離れた後、新しい案件に参加することで、自分にとってより働きやすい環境を見つけることができます

しかし、これまでの経験やスキルを活かすことができる理想的な案件に必ずしも参加できるわけではありません
エンジニア自身がアサイン先をコントロールするのは難しく、理想とは異なる案件に参加することもありますので、しっかりと上司や営業担当との意思疎通を図ることを欠かさないようにしましょう。

転職して、より良いプロジェクトを見つける

案件から離れた後のキャリアプランとして、SES企業を転職して更なる成長を目指す選択肢もあります。
一度案件を抜けたけれど、不一致の原因がSES企業の営業方針や労働環境にある場合、同じ企業に留まっていても同じ問題が繰り返される可能性があります
こうした問題を解決するには時間がかかるため、新しいSES企業への転職を考えることも一つの方法です。

新たなSES企業に転職することで、より自分に合った働き方を見つけることができるかもしれません。
転職先を選ぶ際には、「自分の理想とするキャリアプランを実現できるか」「働きやすい環境か」といったポイントをしっかりと押さえて転職活動を行いましょう。

ただし、新たなSES企業に転職する場合でも、案件のミスマッチなどが発生するリスクは存在します。
一部のSES企業では「案件選択制度」を導入しており、エンジニア自身が案件を選べるようになる制度も増えていますが、やはり希望通り選べるかどうかはエンジニア次第です。
転職先企業が自分の働きたい環境にどれだけ寄り添ってくれるかをしっかりと確認するようにしましょう。

SESではないIT企業への転職を考える

SES企業に所属していると、エンジニアとして案件を自分で選ぶのは難しい現状があります。
そのため、SES企業以外のIT企業に転職する選択肢もあります。

SESエンジニアとしての経験は、自社でソフトウェアを開発している企業システムインテグレータ(SIer)の開発プロジェクトに活かせますし、SES企業から他のIT企業に移ると、システムの企画や設計など開発の初期段階の経験が増え、スキルアップや専門性向上が期待できます

しかし、SESエンジニアが他の企業に転職しようとすると、いくつかの壁やギャップに直面することがあります。
その壁やギャップにより、転職活動が進みにくくなったり、入社後に合わないと感じてしまうこともあるでしょう。
以下に、考え得る壁やギャップとその対処法を解説しますので、参考にしてください。

SES企業以外への転職を考えるときの「壁やギャップ」とその「対処法」

①実績が曖昧になりがち

対処法

  • 実績を業務単位・課題ベースで具体的に言語化する(例:APIの設計、DBのパフォーマンス改善)
  • ポートフォリオを用意する(個人開発やOSS貢献)

②プロダクト視点の経験が少ない

対処法

  • 自主的にサービスを開発・運用してみる
  • 自社の改善提案を積極的に行ってアピールできる実績にする

③開発文化やチームワークのギャップ

対処法

  • 設計レビュー、CI/CD、アジャイルの知識を学んでおく

まとめ

SESエンジニアとして働く中で、「案件ガチャ」でハズレを引くことも時にはあるでしょう。
しかし、そのような状況でも冷静に対処し、自分のスキルと経験を棚卸して適切な行動を取ることで、よりよい環境で働くことができるようになります。

また、契約更新を断る場合や途中退場を選ぶ場合でも、自分の立場と理由を明確に伝えることが大切です。
自分の働く環境を他責にせず、自分で選ぶ意思をもって動けるようになりましょう。

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