SES企業への転職を考えていると、

案件が決まってから入社になります



まずは現場との面談があります
と言われることがあります。
業界では、こうした進め方を「あんきま(案件が決まってから入社)」と呼ぶことがあります。
求職者の立場からすると、



まだ社員でもないのに客先と会うの?



それって違法ではないの?



案件に通らなかったら内定はどうなるの?
と感じるはずです。実際、この運用にはかなりグレーに見える部分があります。
ただし、ここで注意したいのは、案件が決まってから入社だから即違法と単純には言えないことです。
法的にただちにアウトと断定できるケースばかりではありません。
一方で、正社員採用でこの運用をしている会社は、かなり悪質寄りと見た方がいい場面も多いのが実情です。
この記事では、
- 「案件が決まってから入社」は何が問題なのか
- 入社前面談が違法となるケースは何か
- 客先面談違法にならないケースはあるのか
- 内定前面談や入社前常駐先面談で見るべきポイントは何か
を、できるだけわかりやすく整理していきます。
SESの「あんきま(案件が決まってから入社)」とは?


「あんきま」とは、先にSES企業へ入社するのではなく、常駐する案件や配属先が決まった段階で入社手続きを進めるやり方を指します。
通常の正社員採用であれば、企業が人を採用し、その後に配属や業務内容が決まっていくのが自然です。
しかしSESでは、会社によっては「先に営業が案件を探し、その案件に入れそうなら入社してもらう」という順番で話が進みます。
企業側が「あんきま」をしたがる理由
SES会社がこの形を好む理由は、かなりシンプルです。
一番大きいのは、待機コストを避けたいからです。
エンジニアを正社員として採用すると、案件に入っていない待機期間でも給与が発生します。
教育コストや社会保険料もかかります。
会社としては、案件が決まる前に採用すると利益が出しにくくなるため、「現場が決まった人だけ入れたい」と考えがちです。
会社都合が強く出やすい仕組み
つまり「あんきま」は、会社側から見ると非常に合理的です。
しかし、求職者側から見ると話は別です。
なぜなら、これはしばしば“社員として採る”のではなく、“今ある案件に入れそうな人だけ採る”という考え方につながるからです。
この違いはとても大きいです。
会社が本当に人材を雇用する気があるのか、それとも営業都合で人を動かしているだけなのかが、ここに表れます。
「案件が決まってから入社」は違法?まず結論から整理


「案件が決まってから入社」と聞くと、違法ではないかと不安になる人は多いはずです。
ただ、この問題は一律に白黒で切れるものではなく、契約の形や面談の実態によって見え方が変わります。
即違法と断定できるケースばかりではない
まず結論から言うと、「案件が決まってから入社」というだけで、必ずしもすぐ違法になるわけではありません。
法律は、言葉のラベルだけでなく、実態で判断されます。
たとえば、入社前に会社説明の一環として現場の説明を受けるだけなら、それだけで直ちに違法とは言いにくいです。単に仕事内容や働く環境を理解するための機会であれば、違法性は高くありません。
ただし正社員採用ではかなり危うい
一方で、正社員なのに案件ありきで採用の可否が決まるとなると、話はかなり危うくなります。
本来、正社員採用とは「その会社が自社の従業員として雇う」ことです。
にもかかわらず、実質的には客先が「この人はOK」「この人はNG」と判断し、その結果で入社が決まるのであれば、求職者からすると



採用権限が自社にないのでは?
という状態になります。
フリーランスなら構造が違う
ここで混同しないようにしたいのが、フリーランスとの違いです。
フリーランスは会社に入社するわけではなく、案件ごとに業務委託契約を結ぶのが基本です。
そのため、案件参画前にクライアントと面談すること自体は、比較的自然な流れです。
契約対象が「会社への入社」ではなく「個別案件への参画」だからです。
つまり、フリーランスでは問題になりにくいことでも、正社員採用で同じことをすると問題になりやすいのです。
入社前面談は違法?違法になりやすいケース


「入社前に面談するのはおかしいのでは」と感じる人は多いでしょう。
実際、問題になるのは面談そのものではなく、客先が実質的に採否を決める場になっているケースです。
違法と見られやすいのは「採用判断を客先がしている」場合
「入社前面談」が問題になる最大のポイントは、その面談が何のために行われているのかです。
もし形式上は面談でも、実態としては「この人を採るかどうか」を客先が見極めているなら、かなり危険です。
本来、採用の責任は自社にあるべきなのに、客先が選別している状態だからです。
面談結果で内定が左右されるなら要注意
たとえば、次のようなケースはかなり危ういです。
- 客先面談に通れば採用、落ちれば不採用
- 自社面接は形だけで、実質は客先評価がすべて
- 「案件に通らなかったので今回は見送ります」と言われる
- 複数案件で“営業に売り込まれ”、通った案件でだけ入社になる
これは、求職者からすると「会社に採用される」のではなく、客先案件に通過したら入れてもらえるという状態です。正社員雇用のあり方としてはかなり不自然です。
自社が採る意思を持っていない会社は危ない
もっと言えば、この運用をしている会社は「社員を採用したい」のではなく、売上が立つタイミングでだけ人を入れたいと思っている可能性があります。
もちろん企業経営としてコスト意識を持つこと自体は当然です。しかし、そのしわ寄せを求職者に押し付ける形になっているなら、誠実な採用とは言いづらいでしょう。
客先面談で違法となりやすいのはどんな場面か


客先面談はSES業界ではよくあるものですが、だからといって常に問題がないとは限りません。
特に、顔合わせの範囲を超えて、客先が実質的に就業可否を判断しているような場面では違法性が疑われやすくなります。
違法の論点は「名称」ではなく「実態」
SES業界では、「面接」ではなく「面談」「顔合わせ」「打ち合わせ」などと言い換えられることがあります。
ですが、重要なのは名前ではありません。何が行われているかです。
たとえば、呼び方が「面談」でも、実際には志望動機や自己PRを聞かれ、勤務態度や継続意欲まで評価され、その結果で参画可否が決まるなら、それはかなり面接に近い実態です。
客先が面接官のように振る舞う場合
危険信号としてわかりやすいのは、客先担当者が完全に面接官のように振る舞っているケースです。
- なぜこの会社を志望したのですか
- 長く働けますか
- 残業は問題ないですか
- チームに合う性格ですか
- 何年くらいこの案件に入れますか
こうした質問が中心になっている場合、それは単なる業務説明や顔合わせではなく、就業可否を見定めるための選別の場になっている可能性があります。
参画前提で話が進みすぎる場合も要注意
さらに、まだ入社もしていないのに、開始日や現場ルール、勤務時間、体制、席の場所、使用ツールまでかなり具体的に詰めていく場合も注意が必要です。
もちろん、仕事内容を説明すること自体は問題ありません。
ただ、まだ社員でもない段階で「この人が入る前提」で詳細調整が進み、その一方で不採用の可能性も残っているなら、求職者側は不安定な立場に置かれます。
内定前面談はすべて違法なのか


内定前面談の違法性は、実施のタイミングだけで一律に判断できるものではありません。
面談の趣旨が情報共有にとどまるのか、それとも実質的な選別の場になっているのかで評価は分かれます。
内定前面談だから即アウトとは限らない
「内定前に面談がある」と聞くと、それだけで違法だと思ってしまう人もいます。
ですが、ここもやはり一律には言えません。
たとえば、企業が仕事内容をより具体的に伝えるために、現場責任者やチームメンバーと話す機会を設けること自体はありえます。
応募者にとっても、働くイメージがつかみやすくなるからです。
ただし、求職者に不利な構図になりやすい
問題は、その内定前面談が採用可否の実質判断に使われていないかです。
求職者はただでさえ立場が弱く、



断ったら選考に不利になるかも
と思いがちです。
そのため、企業側が



これはただの面談です
と言っていても、実際には断りにくく、選別の場になりやすいのです。
見るべきは「最終的に誰が決めるか」
内定前面談で一番重要なのは、最終的に採用を決めるのが自社なのか、客先なのかです。
自社が「面談結果も参考にするが、採用判断はあくまで自社で行う」と明確にしているなら、まだ理解の余地はあります。
逆に、



客先がOKを出したら採用です



案件に通らないと入社できません
というなら、それは相当危ういです。
入社前の常駐先面談が違法にならないケースはある?


入社前に常駐先面談があると聞くと、それだけで違法ではないかと身構えてしまうかもしれません。
ただ実際には、面談の目的が採用判断なのか、それとも入社後を見据えた説明や確認なのかによって評価は変わります。
常駐先面談でも問題が小さいケースはある
ここまで読むと、「じゃあ入社前に常駐先と話すこと自体が全部ダメなのか」と感じるかもしれません。
ですが、そこまで単純ではありません。
入社前の常駐先面談でも、それが採否を決める場ではなく、業務理解や環境確認の場にとどまっているなら、違法性は高くないと考えられます。
入社がすでに確定しているなら意味合いが変わる
たとえば、すでに内定が確定していて、雇用契約の前提がほぼ固まっている場合、常駐先との顔合わせには一定の合理性があります。
この場合、面談の目的は「採るかどうか」ではなく、
- どんな現場なのか
- どんなメンバーがいるのか
- どんな業務が中心なのか
を共有することにあります。
形式だけ整えている会社もあるので注意
ただし、ここでも油断は禁物です。
会社によっては、「内定は出ています」と言いながら、実際には客先面談でNGが出たら普通に話を白紙にすることがあります。
つまり、書類上は問題がないように見せていても、実態としては選別が残っているケースです。
大事なのは言葉ではなく、その面談に落ちたとき会社がどう対応するのかです。
正社員なら悪質なのは確かと言える理由


正社員採用における「あんきま」は、法的評価とは別に、採用のあり方として問題を含みやすい運用です。
雇用責任を自社で負うのではなく、案件状況や客先判断に依存している点で、求職者に不利益が生じやすくなります。
雇用リスクを会社が負いたくないだけのことが多い
「あんきま」が嫌がられるのは、法律論だけが理由ではありません。
実務的にも、会社が本来負うべき雇用リスクを避けているように見えるからです。
正社員を採るということは、案件が空いた時期も含めてその人の雇用に責任を持つことです。
にもかかわらず、「案件があるときだけ入社」「案件が決まらなければ採用なし」というなら、それはかなり会社都合です。
社員ではなく“商品”のように扱われやすい
この仕組みでは、求職者が「人材」としてではなく、案件に当て込むための駒として扱われやすくなります。
実際、こうした会社では、入社後も次のような傾向が出やすいです。
- 会社都合の案件アサインが強い
- キャリアより営業優先で配属される
- 待機時の扱いが雑
- 評価制度が曖昧
- 現場を変わるたびに不安定になる
法律に触れるかどうか以前に、会社の体質が見える
つまり、この問題は「違法か合法か」だけで判断するより、会社が人をどう扱っているかを見るべきテーマです。
ギリギリ法に触れていないとしても、求職者にとって良い会社とは限りません。
転職は、入社できれば終わりではありません。むしろ大切なのは、その後に安心して働けるかどうかです。
フリーランスなら問題になりにくい理由


案件前に面談があると聞くと不安になりますが、フリーランスでは比較的自然な流れとして行われることもあります。
正社員のように雇用されるわけではなく、案件ごとの条件をすり合わせる場になりやすいためです。
フリーランスは「入社」ではない
ここは誤解されやすいので、あらためて整理しておきます。
フリーランスの場合は、SES会社に入社するわけではありません。
多くは業務委託や準委任の形で、案件ごとに参画します。
そのため、クライアントや元請けとの面談は、仕事を受ける前の条件確認や相性確認として行われるのが一般的です。
参画先を見て判断するのが自然
フリーランスにとっては、「どの案件に入るか」は非常に重要です。
単価、稼働時間、業務内容、技術スタック、体制、リモート可否など、案件ごとの条件が大きく違うからです。
この意味で、案件前の面談は自然な行為です。
正社員のように「会社に雇われる」わけではなく、案件単位で働くかどうかを判断するからです。
正社員と同じ感覚で考えないことが大切
つまり、フリーランスで普通に行われる商流上の面談を、そのまま正社員採用に持ち込むと無理が出ます。
この違いを理解していないと、



フリーランスでもやってるから問題ないですよ
と言うSES会社の説明に引っ張られてしまいます。
しかし、フリーランスと正社員では前提が違う。
ここはしっかり切り分けて考えるべきです。
入社前に見分ける方法|危ない会社かどうかのチェックポイント


ここまで見てきたように、「案件が決まってから入社」や入社前面談は、言葉だけでは違法かどうかを判断しにくいものです。
だからこそ大切なのは、入社前の段階で会社の説明や対応を見て、危ない会社かどうかを見分けることです。
「この案件に入れなかった場合も採用されますか」と聞く
一番わかりやすい質問はこれです。



もしこの案件に入れなかった場合でも、御社には入社できますか?
この質問への答えで、その会社の本音がかなり見えます。



別案件も探します



社員として採用した上で調整します
と答えるなら、まだ自社採用の意思があります。
一方で、



まずはこの案件が前提です



通らなければ再検討です
と濁すなら要注意です。
「面談の位置づけ」を確認する
次に聞きたいのは



この面談は採用選考ですか、顔合わせですか
という点です。
ここで大切なのは、言葉だけではなく説明の中身です。
本当に顔合わせなら、
- 採用判断は自社で行う
- 面談結果だけで不採用にはしない
- 入社後の配属調整の一環である
といった説明があるはずです。
待機時の扱いを曖昧にする会社は危険
さらに重要なのが、待機時の扱いです。
正社員として採用するなら、案件がない期間が発生する可能性もあります。
そのときの給与や研修、次案件の探し方について明確に答えられない会社は危険です。
なぜなら、本当に社員を採る会社なら、待機時の制度を説明できるはずだからです。
ここが曖昧な会社は、そもそも待機を前提にしておらず、案件が切れた瞬間に人を持て余す体質かもしれません。
面談前に必ず聞きたい質問


不安なまま面談に進むより、事前に聞くべきことを整理しておいた方が安心です。
とくに「あんきま」の会社かどうかは、いくつかの質問をするだけで本音が見えてくることがあります。
内定はいつ確定しますか



客先面談の前に内定ですか、それとも後ですか
と聞くことで、採用の順番が見えます。
面談後にしか内定が出ないなら、実質的に客先が選別に関与している可能性が高いです。
この案件がなくなった場合はどうなりますか
案件は、突然なくなることもあります。
営業都合、予算都合、現場方針の変更などで流れることも珍しくありません。
そのとき会社がどう対応するのかは重要です。
- 別案件を探すのか
- 採用自体がなくなるのか
- 内定は維持されるのか
ここを曖昧にする会社は、かなり不安が残ります。
待機時の給与はどうなりますか
これも必須です。
正社員採用であれば、待機時の給与ルールを説明できないのは不自然です。



基本給は出ます



評価制度はこうです



研修期間中はこうなります
と明快に言える会社の方が信頼できます。
会社選びでは「あんきま」以外も見た方がいい


あんきまかどうかは気になるポイントですが、会社選びではそれ以外にも見ておきたい部分があります。
入社後に後悔しないためには、案件の入り方だけでなく、会社の体質や働き方全体を見て判断することが大切です。
目先の案件より、会社の採用思想を見る
求職者としては、「今の案件が良さそうか」に目が向きがちです。
ですが、本当に見るべきなのは、その会社が案件を取っている会社なのか、社員を育てる会社なのかです。
案件ベースでしか人を見ていない会社は、入社後も場当たり的な配属になりやすいです。
営業力と教育力があるかを確認する
良いSES会社は、単に案件数が多いだけではありません。
営業力があり、エンジニアの希望や成長とすり合わせながら案件提案ができます。
さらに、待機やスキルチェンジもある程度見越して育成の仕組みを持っています。
説明の誠実さはかなり重要
転職活動では、会社の説明の仕方にも注目してください。
都合の悪いことを曖昧にせず、
- 待機の可能性
- 案件変更の可能性
- 客先面談の位置づけ
- 入社タイミングの理由
をきちんと説明してくれる会社の方が、信頼しやすいです。
逆に、



業界では普通です



皆さんやってます
で押し切ろうとする会社は、慎重に見た方がいいでしょう。
まとめ
- 「案件が決まってから入社」自体は、ただちにすべて違法とは言い切れない
- ただし正社員採用で、客先面談の結果が実質的に採否を決めるならかなり危うい
- 違法かどうかだけでなく、その会社が社員として採る意思を持っているかを見ることが大切
法律の話になると白黒を急ぎたくなりますが、転職ではそれ以上に「この会社は自分をどう扱うか」が重要です。入社前面談や客先面談があるときは、言葉より実態を見て、曖昧な会社には慎重になった方が安心です。










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