志望動機は“嘘つき大会”?エンジニア採用の現実を解説 

御社の理念に共感しました

成長できる環境を求めています

社会に価値を提供したいです

エンジニアの転職活動をしていると、こうした“それっぽい志望動機”を求められる場面は少なくありません。
その結果、「志望動機って結局、嘘つき大会では?」と感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
特にエンジニア職は、営業職のように“熱意”だけで評価が決まる世界ではありません。

だからこそ、

綺麗事を書かされるのがあほらしい

本当は金が欲しいから働いているだけなのに

と違和感を抱く人もいます。

この記事では、エンジニア採用における志望動機の本当の役割や、企業側が実際に見ているポイントについて、現場目線で解説します。

目次

「志望動機=嘘つき大会」と言われる理由

エンジニア界隈では、「志望動機なんて嘘つき大会だ」という言葉を耳にすることがあります。
なぜ、ここまでネガティブに語られるのでしょうか。

綺麗な言葉のテンプレ化が進んでいる

志望動機が“嘘っぽく”見える最大の理由は、内容がテンプレ化しているからです。
転職サイトや就活メディアを見ると、ほとんど同じような例文が並んでいます。

  • 御社の理念に共感しました
  • 成長できる環境だと思いました
  • 社会貢献性に魅力を感じました
  • 技術力の高い環境で挑戦したいです
  • 若手でも裁量を持てる点に惹かれました
  • ユーザーに価値を届けるサービスに魅力を感じました

もちろん、本当にそう思っている人もいます。
しかし実際には、

こう書いた方が受かりやすそうだから

という理由でテンプレを使っている人もかなり多いです。

その結果、採用担当から見ると、どの応募者も同じようなことを言っているように見えます。
特にエンジニア採用では、営業職ほど“言葉の上手さ”が評価されるわけではありません。
例えば営業職なら、

  • 熱量
  • プレゼン力
  • コミュニケーション力
  • 表情
  • 話し方

などが比較的重要視されます。
しかしエンジニア採用では、実際には、

  • 何を作ってきたか
  • どんな工程を経験したか
  • どんな環境で開発してきたか
  • どんな課題を解決したか

の方が重要視されます。

だからこそ、“綺麗な言葉”だけで構成された志望動機に対して、「なんか嘘っぽい」「薄い」と感じる人が増えているわけです。

本音と建前のギャップが大きい

転職理由の本音は、実際にはかなり現実的です。

  • 年収を上げたい
  • リモートワークしたい
  • 残業を減らしたい
  • 炎上案件から離れたい
  • SESから自社開発へ行きたい
  • 人間関係を改善したい
  • モダン技術を触りたい
  • 上流工程を経験したい
  • 将来性のある環境へ行きたい

これは極めて自然なことです。
むしろ、こうした理由を一切持たずに転職する人の方が少ないでしょう。

しかし、日本の就職・転職文化では、「本音だけを書くのは危険」という空気があります。
そのため、多くの人が“建前として綺麗な理由”を用意します。
すると、

みんな本音を隠しているだけでは?

結局、受かるためのゲームでは?

という違和感が生まれます。
これが、「志望動機は嘘つき大会」という感覚につながっているわけです。

エンジニアは“熱意文化”と相性が悪い

エンジニアという職種は、比較的ロジカルな世界です。

  • なぜその設計なのか
  • なぜその技術選定なのか
  • なぜその構成にしたのか
  • なぜその実装にしたのか

など、“理由”が求められます。
一方、就活や転職活動の志望動機では、

  • 御社のビジョンに共感しました
  • 社会に価値提供したいです
  • 成長意欲があります
  • 挑戦したいです

といった抽象的な言葉が求められがちです。
この文化的ギャップに対して、

なんかあほらしいな

と感じるエンジニアは少なくありません。
特に現場経験を積んだ人ほど、

結局、現場では実務能力が全てでは?

という感覚を持ちやすくなります。

「企業研究ゲーム」になっているケースもある

志望動機に違和感を覚える理由のひとつが、“企業研究ゲーム化”です。
企業サイトを見て、

  • ミッション
  • ビジョン
  • バリュー
  • 代表メッセージ

などから、“それっぽい言葉”を拾ってくる。そして、

御社の〇〇という理念に共感しました

と組み立てる。

もちろん最低限の企業理解は重要です。
ただ、これが過剰になると、「企業の言葉をどれだけ上手く引用できるか」というゲームになりがちです。

特にエンジニアは、マーケティングや営業ほど“理念共感型”で仕事をしている人ばかりではありません。
そのため、「ここまでやる必要ある?」という違和感につながりやすいのです。

「志望動機はあほらしい」と感じる人へ伝えたいこと

確かに、志望動機に違和感を覚える気持ちは理解できます。
しかし、採用側は意外と“理想論”だけを見ているわけではありません。

採用担当も“全部本音”だとは思っていない

まず前提として、採用担当も応募者の志望動機を100%信じているわけではありません。

社会貢献したいです

と書いていても、本当は年収アップや働き方改善が目的であることくらい、採用側も理解しています。
特にIT業界では、

  • 年収アップ
  • リモート希望
  • キャリアアップ
  • 技術環境改善

などを目的に転職する人が多いことは、採用側も分かっています。
むしろ採用担当が見ているのは、“その人の話に整合性があるか”です。
例えば、

  • フルリモート希望なのに出社重視企業へ応募
  • モダン技術志向なのにレガシー環境へ応募
  • 上流工程希望なのに保守運用中心企業へ応募
  • 自社開発志向なのに客先常駐前提企業へ応募

こうしたズレがあると、

この人は長く続かなそう

と判断されます。
つまり、“綺麗なことを書いているか”ではなく、“話が噛み合っているか”の方が重要なのです。

志望動機は“加点”より“減点回避”

ここを勘違いしている人はかなり多いです。
志望動機は、「これを書けば逆転合格できる」というものではありません。
実際のエンジニア採用で重視されるのは、

  • スキル
  • 実務経験
  • 担当工程
  • 技術スタック
  • コミュニケーション能力
  • 業務理解力
  • 転職回数
  • ポートフォリオ
  • GitHub
  • 業務実績

などです。
つまり、合格ラインに達していない人が、志望動機だけで一気に評価をひっくり返すケースはかなり少ないです。
例えば、

  • 実務経験不足
  • 技術スタックが合っていない
  • 開発経験が浅い
  • チーム開発経験がない

などの場合、どれだけ綺麗な志望動機を書いても厳しいことがあります。
一方で、

  • 志望理由が支離滅裂
  • 明らかに企業研究不足
  • 条件しか見ていない
  • どこでも使い回せる内容
  • すぐ辞めそう

などが見えると、“減点”されることはあります。
つまり志望動機は、“超加点要素”ではなく、“事故防止”に近い役割なのです。

「志望動機を書けば受かる」は幻想

就活系コンテンツでは、

  • 人事に刺さる志望動機
  • 採用率が上がる例文
  • 内定を勝ち取る文章術
  • 通過率が上がる書き方

のような情報が大量にあります。
しかし、エンジニア採用では、そこまで単純ではありません。
例えば、

  • Java経験5年
  • AWS経験あり
  • 基本設計〜運用まで経験
  • チームリーダー経験あり

こうした人材は、多少志望動機が弱くても一定評価されます。

逆に、実務経験が不足している人は、どれだけ綺麗な文章を書いても難しい場合があります。
つまり採用は、“文章コンテスト”ではなく“総合評価”です。
志望動機だけを過大評価すると、本質を見失いやすくなります。

「正解の志望動機」を探しすぎる人が多い

エンジニアは真面目な人が多いので、「正しい答え」を探そうとする傾向があります。
しかし、志望動機に絶対的な正解はありません。
企業によっても、

  • カルチャー
  • 採用方針
  • 重視ポイント
  • 現場温度感

は全く違います。
ある会社では高評価だった内容が、別の会社では響かないことも普通にあります。
だからこそ、“完璧なテンプレ”を探すよりも、自分のキャリアや希望を整理した方が重要です。

「お金が欲しいから」は志望動機としてダメなのか?

本音を言えば、“給料を上げたいから転職したい”という人も多いでしょう。
実際、志望動機を書くときに、『お金目的ってダメなのか?』と悩むエンジニアは少なくありません。

では、お金目的で働くのは本当に悪いのでしょうか。

お金を目的に働くのは自然なこと

まず大前提として、仕事は生活のためにするものです。
そのため、

  • 年収を上げたい
  • 生活を安定させたい
  • 家族を養いたい
  • 将来に備えたい
  • 子どもの教育費を確保したい

という理由は極めて正常です。
むしろ、「お金には興味ありません」という方が不自然なケースもあります。
特にIT業界は、スキルによって市場価値が大きく変わる業界です。
そのため、

  • スキルアップ
  • キャリアアップ
  • 年収アップ

が密接に結びついています。
企業側も、その点は十分理解しています。

問題なのは“企業との接点”がないこと

ただし、「お金が欲しいです」だけでは、企業側が判断できる情報が少なすぎます。
企業が知りたいのは、「なぜ数ある会社の中で、自社を選んだのか」です。
例えば、

  • AWS案件に携わりたい
  • React環境を経験したい
  • 自社サービスに関わりたい
  • 上流工程へ進みたい
  • チーム開発文化を重視したい
  • アジャイル開発を経験したい

など、自分の目的と企業の特徴が繋がっていると、納得感が生まれます。
つまり本音がお金だったとしても、「そのために、なぜこの会社なのか」が説明できれば問題になりにくいのです。

むしろ危険なのは“綺麗すぎる志望動機”

採用担当をしていると、逆に警戒するのが“綺麗すぎる志望動機”です。

  • 御社で人生を変えたいです
  • 世界を変えるサービスに感動しました
  • 御社の理念に強く共感しています
  • 社会課題を解決したいです

もちろん、本気の人もいます。
ただ、過剰に作り込まれた文章は、“転職ノウハウ感”が強く出やすいです。
特にエンジニア採用では、営業トークよりも自然さの方が重要視される場面があります。

そのため、

  • なぜ転職したいのか
  • 何を実現したいのか
  • どんな環境を求めているのか

を、変に盛らずに説明した方が、結果的に印象が良いケースも少なくありません。

「待遇改善」は立派な転職理由

意外と忘れられがちですが、待遇改善は十分立派な転職理由です。
例えば、

  • 年収が低すぎる
  • 昇給がない
  • 評価制度が不透明
  • 残業が多い
  • キャリアが頭打ち

こうした環境で、「もっと良い条件を求めたい」と考えるのは当然です。
むしろ、不満を抱えながら無理に働き続ける方が危険なケースもあります。
そのため、「待遇改善したい」という本音自体を、過度に悪だと思う必要はありません。

エンジニア採用で企業が本当に見ているポイント

では実際に、企業は何を見ているのでしょうか。
志望動機ばかり気にしていると、本当に重要な部分を見落とすことがあります。

技術力と実務経験

最も重要なのは、やはり実務能力です。
特に中途採用では、

  • 何を作ってきたか
  • どの工程を経験したか
  • どんな環境で働いていたか
  • どんな課題を解決したか
  • チームでどう動いていたか

が非常に重視されます。例えば、

  • 基本設計経験あり
  • API開発経験あり
  • AWS運用経験あり
  • CI/CD構築経験あり
  • VueやReact経験あり

などは、かなり具体的な評価対象になります。
逆に、どれだけ綺麗な志望動機を書いても、実務内容が弱いと評価は伸びません。

“再現性”があるか

企業が知りたいのは、

この人は入社後にも成果を出せそうか

です。
つまり、“再現性”を見ています。例えば、

  • 改善提案した経験
  • 障害対応経験
  • チーム連携経験
  • 顧客折衝経験
  • 後輩教育経験

などは、「現場で動ける人か」を判断する材料になります。
エンジニア採用では、“理想論”より“実務でどう動くか”の方が圧倒的に重要です。

「長く働けそうか」

企業は採用にコストをかけています。そのため、

  • すぐ辞めないか
  • 希望と実態にズレがないか
  • カルチャーが合うか
  • 現場と噛み合いそうか

をかなり気にします。

ここで志望動機が役立ちます。
例えば、「最新技術を触りたい」と言っている人が、保守運用メイン企業へ入社すると、ミスマッチが起きやすいです。
つまり志望動機は、“熱意アピール”というより、“ミスマッチ確認”に近い役割を持っています。

コミュニケーション能力も見られている

エンジニア採用では、「コミュ力不要」と思われがちですが、実際にはかなり見られています。
ただし、ここで言うコミュニケーション能力は、“営業トーク力”ではありません。
重要なのは、

  • 話が整理されているか
  • 相手に伝わる説明ができるか
  • チームで働けそうか
  • 会話のキャッチボールができるか

です。
そのため、志望動機も“綺麗さ”より、“自然に説明できているか”の方が重要になります。

エンジニアが志望動機を書くときに意識したいこと

では実際に、どう書けば良いのでしょうか。
重要なのは、“好かれる文章”を書くことではありません。

「この会社である理由」を整理する

まず大切なのは、「なぜこの会社なのか」を整理することです。
例えば、

  • 技術スタック
  • 開発体制
  • 働き方
  • 事業内容
  • キャリアパス
  • チーム文化

など、自分の希望と接点を作ります。

ここが弱いと、「どこでもいい感」が出ます。
逆に、接点が整理されていると、自然と納得感が生まれます。

盛りすぎない

無理に熱意を演出する必要はありません。
特にエンジニア採用では、“過剰な熱量”より“自然な整合性”の方が大切です。
例えば、

「上流工程に挑戦したい」
「クラウド環境を経験したい」
「チーム開発文化を重視したい」

など、現実的な理由でも十分です。
むしろ、無理に“人生を変えたい”レベルまで盛ると、不自然になることもあります。

「転職理由」と矛盾させない

意外と多いのが、転職理由と志望動機が矛盾しているケースです。
例えば、

  • 残業が嫌 → 激務企業へ応募
  • リモート希望 → 出社文化企業へ応募
  • 技術志向 → 営業寄りSESへ応募

こうしたズレはかなり見られています。
だからこそ、“綺麗な言葉”より、“筋が通っているか”の方が重要なのです。

「受かりそうな文章」を目指しすぎない

就活ノウハウを見すぎると、“人事ウケ”を狙いすぎる人もいます。
しかし、実際の現場では、“自然に話せる内容か”の方が重要です。

面接では深掘りされます。
そのため、自分でも説明できない綺麗事を書くと、逆に苦しくなります。
だったら最初から、“自分の言葉で説明できる内容”を書いた方が、結果的に面接も楽になります。

まとめ

  • 志望動機は“嘘つき大会”ではなく、ミスマッチ確認の役割が強い
  • エンジニア採用では、志望動機だけで逆転合格するケースは少ない
  • 「金が欲しいから働く」は自然であり、大切なのは企業との接点を説明できること

志望動機は、企業に媚びるための文章ではありません。重要なのは、“受かりそうな嘘”を書くことではなく、自分のキャリアと企業の方向性に納得感があるかです。無理に綺麗事を作るより、自分の目的を整理し、それを自然に伝える方が、結果的に良い転職につながりやすくなります。

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この記事を書いた人

セルワークITフリーランス編集部のアバター セルワークITフリーランス編集部 セルワークITフリーランス編集部(運営:株式会社セルバ)

セルワークITフリーランス編集部は、ITエンジニア・ITフリーランス・SES人材のキャリア支援を行う「株式会社セルバ」が運営する編集チームです。

株式会社セルバは、Webシステム開発・ポータルサイト構築を中心に20年以上の実績を持ち、IT業界・人材業界の両分野において、事業運営と現場支援の両面から関わってきました。
自社サービスとして、IT人材向けの求人・マッチング・キャリア支援に関する複数のWebサービスを運営しています。

編集部では、そうした事業運営の中で蓄積されてきたITフリーランスからの相談内容、案件参画時の実例、契約・単価・キャリアに関する課題をもとに、実務に即した情報を編集・監修しています。

本メディア「セルワークITフリーランス」では、単なる一般論や表面的なノウハウではなく、現場で実際に起きている課題や意思決定のポイントを重視し、ITフリーランスが自分に合った働き方を選ぶための情報提供を目的としています。
記事はすべて、IT業界・人材業界の実務に携わる運営チームによる確認・編集体制のもとで公開しています。

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